初夏、月霞み
全国的に真夏日になったと、無意識に開くネットニュースが知らせてくれる。
いつの間にか季節が変わっている。
6月。初夏も終わりに差し掛かっているようだ。
昨日、ふいに冬物のスーツをクリーニングに出そうと思った。
少しばかりか、遅れた衣替えである。
引っ越してから、クリーニング店を利用することがなかったので、まったく馴染みがない。
Google mapを開き、端的に「クリーニング」と検索すると、幸いすぐ近くに存在することが分かった。
目についた1番大きい紙袋パンパンにスーツをつめ、入る余地のなかったコートを腕にかけ揚々とクリーニング店に向かう。間もなくついたそこにはシャッターと、「定休日 水曜日」という文字。なるほど。僕はコートを腕にかけただ闊歩する季節外れのおじさんになっていた。
それが昨日の話。
今日、少しばかりいつもより遅い帰宅となった。ずいぶんと日が長くなったなあと思いながら、一息ついて出かけるのが億劫にならないように仕事用の鞄を下ろし、再び紙袋とコートを腕にかけた。
別に急ぐことなど何もないのだが、一度思い立ったならすぐに実行したい性分なもので、今日のうちに出してしまおうと揚々と家を出る。
マンションを出ると、まだ青さが残る空に綺麗な月が浮かんでいた。満月には少し足りないか、なんて思いながら久しぶりに綺麗な月を見たような気がして嬉しかった。
ほどなくして、僕は再びシャッターを前にコートを抱えていた。
「~PM7:00」
時計に目をやると、11分ほど過ぎていた。
なるほど。
帰りに見上げた月は霞みがかっていた。
満月は明日、6月6日のようです。
6月の満月はストロベリームーンと言うそうです。